ごはん
養老孟司と森毅の対談「寄り道して考える」(PHP文庫)を読んでいる。
以前から、この二人の「はずれもの」的キャラクターも発言も好きだったため、期待して読みはじめたのだが、これが見事にノれない。もう何冊もべつの本においこされている始末である。
なぜだろう。
考えていたが、これは多分二人の会話には「生活することの切実さ」が感じられないからなのではないかと当面の結論をえた。
二人とも、良くも悪くも「大学の先生」で、相手にする人々はみな教育関係者(生徒もふくむ)である。
もちろんそれなりに苦労していることは回想を読んでもわかるが、今のわたしからみればやはり「それなり」でしかない。
また、わたしがこの世代の人に一番かなわないと思うのは、いわゆる「戦争体験」であるが、そういう、以前はひざを正して読まなければいけないような気がした話も、時の風化作用のおかげか、なんだか茫洋とした昔話となってしまっている。
それでも、大学でいろいろなことに揉まれているうちはそれが考えるためのエネルギーになっていたのだろう。
それさえなくなった今では「すべて過去のおもいで」となり、実感を失った老爺の繰り言になってしまった。