押し売り選手宣誓
朝昼兼用ごはんを食べながらテレビをつける。第86回全国高校野球選手権大会が開幕したらしい。選手宣誓の映像がでていた。しかし、熱演した富山商(富山)の宮田拓也主将にはもうしわけないが、大変気持ちわるかった。
その気持ちわるさを確認しようとWebのニュースサイトで内容を検索。あれ、2バージョンあるよ。
- //www.yomiuri.co.jp">YOMIURI ON-LINE - 「夏の甲子園開幕、天理―青森山田戦で熱戦スタート」:「友情と感謝の気持ちを忘れず、豪雨の被災者の方々に勇気と感動を感じてもらえるよう、笑顔、元気、全力疾走でプレーすることを誓います」
- //www.mainichi-msn.co.jp">MSN-Mainichi Interactive - 高校野球:49代表校の選手迎え開幕 甲子園:「今、この夏空にホームランを描くことを夢みて、感謝の気持ちを忘れず、豪雨の被災者の方々にも勇気と感動を感じてもらえるよう、笑顔、元気、全力疾走でプレーすることを誓います」
毎日のほうが長い。多分こちらが実際に話されたものに近いのだろう。
それにしてもなあ、どうにかならないのか、これは。だれが書いたんだ。
- 今、この夏空にホームランを描くことを夢みて
- 凝りすぎ。ホームランだけが野球じゃないでしょ。それに、選手宣誓で「夢みる」ことなんか、誓わないでね。
- (友情と)感謝の気持ちを忘れず
- わざわざ宣誓することかい?
- 豪雨の被災者の方々にも勇気と感動を感じてもらえるよう
- 豪雨の被災者は高校野球を見なきゃいけないのかね。
それでなくても後処理や気持ちの整理で大変なのに、高校球児のおあそびにも是非つきあわなきゃならなくて、その上勇気と感動を感じ*1たりしなきゃいけないのか。二次災害だよ、それは。
大体、被災者たちの役に立ちたかったら、全国高校野球選手権大会なんて中止して、みんなで被災地にボランティア活動に行った方がいいと思うぞ。 - 笑顔、元気、全力疾走でプレーすることを誓います
- いや、個人的に誓うのはいいんだけど、これ、選手宣誓でしょ。全選手を代表して言っているんだよ。そうすると、ほかの選手もみな、ホームランを描くことを夢みたり、感謝の気持ちを思いだしたり、豪雨の被災者の方々に感動をあたえるために笑顔で元気に全力疾走しなければいけないということだよ。
「分(ぶ)をわきまえる」という言葉がある。自分にあたえられたつとめ(立場、力量、ひょっとしたら身分)を理解するという意味だ。高校球児の「分」はなんだろう。それは、ほかでもない、「野球をする」ということではないのか。その競技に感動し、ひょっとしたら涙を流すのはこちらの自由である。
そして、選手宣誓の「分」はなんだろう。それは、いろいろと気持ちのわるいリップサービスをすることではなく、「選手全員でこれだけは守ります」と、最低限の行動を約束することではないのか。
実は、我々はさいわい、その「分」に一番合致した選手宣誓を知っているのである。しかも、歯切れがよくて、短くて、かっこいいの。
我々選手一同は、スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と戦うことを誓います。
どうです。「自分にできることをせいいっぱいやろう」という気がまえがあふれているでしょ。この宣誓なら、他の選手からの「おいおい、おれは『ホームランを夢み』たりしてないぜ」なんて故障もでないだろう。
まあ、どうしてもショーマンシップが発揮したかったら、プロ野球選手になってからやってくれ。でも、プロの選手でも、「感動をあたえる」ために野球をやっている人なんてあんまりいないと思うけどな。
感動は結果としてこっちがうけるもの、つまりこういうことです。
「押し売りおことわり」
今日の画像(写真日記猫)
伸び猫。
*1:冗語へのツッコミは今回は割愛。