コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

総括

図書館でついでに借りてきた本、『団塊の世代とは何だったのか』(由紀草一著 洋泉社新書)を読んでいる。団塊の世代の定義だけでも知りたいと手をだしたのだが、これが大変おもしろい。借りてよかった。
団塊の世代」とは、昭和二十二(1947)年から数年続いた第一次ベビーブームにうまれた世代の総称。堺屋太一命名。この世代が大学生だった数年は、なにより騒々しくてはた迷惑な時代だった。
1954年うまれで広義の団塊の世代にかろうじてひっかかっている著者は、時代の境界に立っているという利点をいかし、あの時代に起きたできごとを、風潮、政治の流れ、当人たちの理由づけといった観点から多面的に考察してゆく。
1964年うまれのわたしには「あさま山荘」や「東大落城」は、新聞の見出しやテレビの銃撃戦といった点的な印象しか残さなかった。本書を読むと、それらがはっきりと時代の景色の中にその位置を占めるようになる。
共感も充分こめた分析のすえ、著者は団塊たちの行動にある甘えをえぐりだし、ツッコミをいれてゆく。
そして、さわぐだけさわぎ、結局責任を放棄して逃げだした世代を「総括」する。
高校の英語教師による必読の好著。

書籍データ

団塊の世代とは何だったのか(新書y 097)
由紀草一著

出版社 洋泉社
発売日 2003.10
価格  ¥ 777(¥ 740)
ISBN  4896917634

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表紙。