コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

韓流ならば、呉善花さん。

多くの男性とおなじくヨン様ブームには「けっ」と思っているが、本の世界では数年前から愛読している韓国人著者がいる。
呉善花(お そんふぁ)さんは済州島うまれ。韓国の軍隊を経験した*1のち日本に留学する。
日本で呉さんが直面したのは、顔はおなじだが考えかたや習慣がまったくことなる人たちとの意志疎通の障害だった。
たとえば韓国でキムチ作りのために八百屋にいったら、店頭の白菜をよくさわって品質を確認しながら店の主人に「いいものを売ってください」などというのが礼儀らしい*2。呉さんも日本の八百屋で「よいものを売ってくださいね」とやっていたら、店の主人はだんだん不機嫌となり、最後は「売らないっ。朝鮮人には売らないよ」といいすてた。
呉さんは日本でのこういった体験を、つらい時期のはてに昇華させ、近くて遠い国の関係を明晰かつ魅力的な日本語でつづった名著『スカートの風』をあらわした。それは日韓関係に吹いた一条のさわやかな風だった。
字数ぎれ。その後の活躍は次回。

書籍データ

スカートの風(角川文庫)
呉善花〔著〕

出版社 角川書店
発売日 1997.02
価格  ¥ 462(¥ 440)
ISBN  4041903017

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*1:女性に徴兵はなく志願入隊。

*2:朝鮮語は上下関係がはっきりしているらしいから、この場合は目下につかう言葉なのかも。