RPG的展開―愛と、勇気と、王子さま。
『悪女(わる)』(深見じゅん 講談社)は昨年中に読了。いやおもしろかった。全三十七巻のコミックスを要約するのも乱暴だが、あえてひとことでいうと、少女マンガの主人公が仕事系レディスコミック風RPGの世界にまよいこみ、王子さまをめざして艱難辛苦にたえつつ成長し、ついでにみんなをしあわせにするという話である(いや本当に乱暴)。
どこがよいのか。波瀾万丈の展開もいいし、登場人物のセリフまわしも秀逸で、再読してもあきないが、なんといっても全体をRPGじたてにしているところが一番の成功要因である。
ドラゴンクエストが(たぶん)大好きな作者は、RPGの構成要素をたくみに換骨奪胎し、全編にとりいれている。それは大きな目標(王子さま)と各ステージの目標(仕事上の難題とライバル)であり、成長であり、みちびいてくれる賢者と冒険の仲間たち(パーティー)である。主人公が突然手にいれる、銀座のクラブで一晩飲み放題のカードは古代遺跡の鍵だろうか。
この趣向が作品全体に緊張感と躍動感をあたえ、長編マンガには希有な、なかだるみのない作品にしあげている。
一気読み必至。全巻入手後読みはじめること。