アメリカの心―全米を動かした75のメッセージ
アメリカのハイテク企業、ユナイテッド・テクノロジーズ・コーポレーションが1979年から『ウォールストリート・ジャーナル』に掲載してきた意見広告を七十五本あつめたもの。短い文章のなかに強いメッセージがこめられており、そのひとつひとつに対し、「うんうん、そうなんだよ」、「いや、それは違うんじゃないか」と反応せざるをえない。これは「人をうごかす広告」である。広告は人をうごかしてあたりまえですか? まあそうなんですが、普通の広告は人に「考えるな、買え」といいますが、この広告は「考えろ」というところが逆だと思う次第。
実は本欄が目標としているのがこの『アメリカの心』である。「五百文字以内」という、本欄を書くにあたって自分に課した制限も多分にこの本を意識して決めたものだ。
ひとつ引用する。原文は和英対訳で、見開きの左が日本語、右が英語となっている。たてに長いスペースに掲載した広告なのだろう。新聞の一面にある、『天声人語』を代表とする例のコラムをえいやっと立てて、さらに詩的にした感じに活字が組まれている。
「アメリカも結構やるじゃん」と思える一冊。