僕たちの好きな占い(僕たちの嫌いなカオス)。
『占いの謎 いまも流行るそのわけ』(板橋作美 文春新書)。著者は文化人類学者。「なぜ人間はこんなにも占いが好きなのか」を実例をあげながら考察している。
たしかに不思議だ。わたしにしてもつねづね、「占いのたぐいは一切信じない」などと言っているくせに、気がつくとゲンをかついだりしている。たとえば、以前宝くじで数万円当てたことがあるのだが、それからしばらく、宝くじを買うときには、「ふと目についた店で買う」等、なるべく当たったときとおなじ買いかたをするように心がけていた。もちろん、宝くじに当たる確率は、純粋に買った枚数に比例すると理屈では十分に知っていながら、である*1。
本書はまず占いとはどういうものかを手際よく分類し、ABO式血液型占い(占いです!)や夢占い(フロイト含む)など、よく知られ、広まっている例を紹介する。そして、主に日本各地の「朝焼けは雨、夕焼けは晴」といった言いつたえのパターンを分類しながら、われわれがどうやって世界を見ているかの手がかりを提示してくれる。
平易で面白く、読後にはなにかを得ている。新書の王道だな。
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書籍データ
*1:著者もいくぶん迷信家で「数字の四は避ける」らしい。