コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

繁殖池のカエル戦略 - その2

(前編: id:Akimbo:20040618 )
さてその後、長年の淘汰の結果、そのカエルにはなにが起こっただろうか。個体が次第に巨大化していったか。さにあらず。ちいさいからだのまま、すべてのカエルが野太く低く大きな声で鳴くようになったのである。
多分、そのカエルが生きていくうえで最適な大きさというものがあり、ある程度以上のサイズのカエルは逆に生後の条件で淘汰されてしまうのだろう。あるいは種としての限界なのかもしれない。
しかし、メスの好みとして、「生きてゆくのに最適なサイズに見合った鳴き声をもったオス」というような条件は、カエルにとっては複雑すぎて望むべくもなく、あくまで低く大きい声のオスが好まれたため、その結果、カエルの実際の大きさはかわらずに発声器官だけが発達したものと考えられる。

ここで注

ここまで、まるで見てきたようにもっともらしく書いていますが、これはあくまで、現在の状況から推測した仮説です。まだ本を探していないので記憶で書いていますが、たしか、なんらかの実験でこの進化の過程が確認されたというはなしではありませんでした。

べつの戦略あらわる

繁殖池では低く大きな声で鳴くカエルがメスに好まれるため、すべてのカエルが力の限り大きな低音で鳴くようになったわけだが、ここに新手があらわれた。鳴かないオスである。
そのオスは自分ではラブコールを発しない。そのかわり、周囲でメスにとっていちばん魅力的な声で鳴くオスにあたりをつけ、そのそばにじっとしている。そして、その魅力的なオスにメスが近づいてきたら、すばやくそのメスに乗っかってしまうのである。

バランス

しかし、このオスはある一定の割合以上には増えないらしい。たしかに、この戦略はラブコールをするオスの存在を前提としている。みながおなじ戦略をとれば、戦略自体が成りたたなくなるだろう。その繁殖池では、無言戦略をとるオスが増え、この戦略にあまり効果がなくなってくるとラブコール戦略に切りかえるオスもいるそうだ。

カエルから学ぶいろいろなこと

  • 母の「好きなタイプ」は娘に遺伝する。
  • わりこみはなくならない。が、一定以上にもふえない。
  • 世の中はバランスでなりたっている。
  • 「卑怯」も「正々堂々」もひとしく「戦略」である。
  • 女性の好みはわからない。

今日の猫じゃなくてカエル

今回はトピックにあわせ、カエルです。川崎のトンカツ屋に行ったときに、テーブルの上に鎮座ましましていました。ザワクラ#225からの転載です。