コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

確信犯

きらいな言葉。
語感やさししめすものがきらいなのではなく、使われるシチュエーションがいやですね。

現在「確信犯」が一番使われる用法

次の例文を読み、選択肢の中から「確信犯」の意味としてもっとも適当なものを選べ。

「確信犯」などというあまり使わない単語の辞書的意味を問うて、どうしようというのでしょう。

「確信犯」の定義

ある思想信条にのっとり、そうすることが正しいという確信のもとにおこなわれる犯罪のことだそうです。
これが現代では、「そうすることが悪いことだと知っていながら犯行する人」だとあやまってとられている場合が多い、というのが大抵そういったレボートの結論となります。
本当ですか?
(つづく)

「悪いと分かっていてあえて犯行をおこなう」

のが「確信犯」ならば、すべての犯罪者が確信犯になってしまいます。
しかし、世の中での使われかたを見れば、あきらかに単なる犯人と確信犯は区別されています。
これは、その単語を使ったり聞いたりする人々がニュアンスの違いをちゃんと感じとっていることを意味しています。
しかし、いざ問題としてむかいあうと間違いのほうを選んでしまう。それだけのはなしです。
この単語の場合には、普通の犯人との違いが感じられれば充分だからです。

用例の少なさ

普通われわれは、言葉というものを辞書を参照しておぼえるわけではありません。
生活のなかでいろいろな使用例にふれ、なんとなく理解してゆく単語が大部分でしょう。
この「確信犯」という単語の場合は、正しい意味あいをはっきりと理解できるように使用した例にであったことがありません。
いや、ひょっとして、どこか特定の書籍や表現媒体、あるいはある時代の文章にあたれば鉱脈を掘りあてたようにザクザクとそういう表現がでてくるのかもしれませんが、それは普通の人にとってはないのと一緒。
とすれば、辞書的に正しい意味あいの「確信犯」という単語の命脈は尽きているのです。

そして、誤用指摘の多さ

適切な用例がないわけですから、この単語の「確信」は、辞書をひかなければ「宗教的、あるいは思想信条的に正しいとの確信」であるとわかりません。つまり、この単語の意味は、辞書をひくか、こういった誤用指摘の文章を読まないと身につかないわけです。
いうまでもなく、そういう知識の有無を問う調査は日本語能力とは全く関係がありません。
そんな死語の誤りをことさらに指摘する論者たちは、いったいなにがしたいのでしょうか。
たぶん、こういう例を、たとえこじつけでもむりやりでも、ひとつでも多くあげ、日本語の乱れに悲憤慷慨し、世に警鐘を鳴らしたいのです。
彼らは、ただ知識をひけらかして優越感にひたりたいわけではなく(「ひたりたいだけではなく」?)、そうすることがわれわれの日本語能力向上に寄与し、ひいては世のためになると信じています。
まさに、「確信犯的行動」なのです。
あ、用例、ひとつ作っちゃいましたね。

今日の画像

近所の畑にはえていた枝豆です。
昨日通りがかったら、取り入れ後でした。
全体的に量が少なかったから、お百姓さんのビールのつまみになっているのかも。