コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

NHKのアニメ

昨日だったか。例によって食事中だけテレビをつけると、NHKで戦争―もちろん大東亜戦争―関係のアニメをやっていた。
途中からちょっとだけしかみていないが、どうやら「国民全員が狂気にとらわれているときに正気を保っていた一家の物語」のようだ。「少年H」系の話なのかな。
見ていると、戦局が逼迫してからなのだろうか、いざというときの安全のためか食料不足のせいか、飼い犬は始末しなければいけないというおふれがまわったらしい。主人公一家はそれに抵抗していた。
バカバカしい。戦時中にペット至上主義か。今の感覚で過去を断罪する好例である。
すぐにチャンネルをかえてしまったのでそれ以上見ていないが、登場する人たちの服もきれいで、栄養も現代人と同じくらい行き届いていそうなのも気になった。以前みた「ビルマの竪琴」のカラー映画(石坂浩二がでたヤツ)で一番気に入らなかったのは、登場人物たちが全員血色がよく健康そうで、まるでジャングルで苦しい戦いをおこなっているようにはみえない点だった。あれは映画なので徹底するのは難しかったのかもしれない。しかしやはり大きな欠点だと思う。それが、いかようにも描写できるはずのアニメでもおなじらしい。
要するに、過去のことなどどうでもいいヤツが過去のことを物語にしているのである。二次大戦中なのは「たまたま」である。どの時代の話でも現代の感覚で断罪するのだから、未来社会をえがいたSFでもおなじことだろう。こういう鈍感さにはうんざりする。
高島俊男さんだったと思うが、昔の話でこういうのを書いていた。
昔は、卵をとるためにニワトリを飼っている家が多かった。そういうニワトリが卵を産めなくなると、あとはつぶして食べるしかないが、ながいこと飼っていたニワトリを食べるにはしのびない。そこで、いくらかの手間賃を業者に払うと、業者はそのニワトリをひきとり、かわりに別のニワトリの肉を一羽分くれるのだそうだ。もちろん、ひきとられたニワトリはしめられ、次の家の食卓をかざる。なんだかほろにがい話。
こういうのが現実だ。天下のNHKが、学芸会の人形劇程度の現実味しかない作り話で過去を断罪してよいのか。いやなことに、この傾向は年々ひどくなっていく気がする。
国民総学芸会時代に正気を保っているマスコミ人は、どこかにいないのか。