勘違いの遺伝子
「勘違い」といっても、ネギとまちがえニラを買うとか、ジャスミンティーはヒヤシンスから作られると信じているとか、オッチョコチョイに類したかわいらしいものではない。「自分がひとかどの人物であると思いこむこと」である。
もちろん、たいていの人は自負心をもち、自分を多少は大きくみているものだが、それには客観性の歯止めがかかっている。普通の人は自分をある程度以上には見積もれないものである。
「勘違いしている人」は外部と自分の比較など一切やらない。最初から自分が周囲の人間よりすぐれていると根拠なしに信じ、それにくらべ周囲の自分に対する評価は不当にひくいと思いこむ。
そして、不平不満をいうだけでなにも努力をしない。ただこう思っている。
「本当の自分は、ここではない別のところにいて、もっとすばらしいことをしているはずだ」
このやまいに良薬はあるのか。
自然治癒を待つしかないらしい。
なぜそこまでいいきれるのか。標本があるのだ。どうもわが一族は脈々と「勘違いの遺伝子」をうけついでいるらしい。
父も兄もその呪われた血の犠牲者である。弟はからくものがれたようだ。
わたしは? 現在治療中です。