インフラ
こどものころ、「なんでこんなうちに生まれてきたんだろう」と思っていた。
今考えると、わたしがなにを欲していたのかよくわからない。
昭和ひとけたうまれの両親は元気で、食べざかりのガキどもに毎食はらいっぱいたべさせてくれたし、教育だって、箸のもちかたから開平法*1、倫理感は昭和ひとけた風のものをおそわった*2。
どうやら、わたしはただ一点、自分の一家が平均よりも貧乏だとの思いこみから不満をいだいていたようだ。
しかし今かんがえてみると、その当時、こども三人にちゃんとたべさせ、十分な教育をしようとすればほかにまわす金なんかなくなってしまうのだ。
こどもへの投資優先の結果もたらされたみかけの貧乏に気づかないのは若さゆえだったのか。
自分がおかれている環境の不足には敏感だが、十分であることはみえづらい。
吾唯足ることを知る。
今晩両親に電話しよう。まだ生きていてくれることに感謝して。