コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

竹内久美子はバカだが、まあ見るべきところもある。

記憶しているかぎり、週刊文春の連載を読み二回感心した。
ひとつはキリンの首が長くなった理由の考察。
竹内は、キリンはより高い枝の木の葉を食べようとするために首をのばしたのではないという。それではどういう理由なのかというと、まず足が長くなったからだ、と推測している。
サバンナでは、首が長いことよりも足が長いことの方が重要だ。そのためキリンは足を長くする方向に進化してきた。そうすると、草を食べたり、水を飲んだりするために首ものびる必要がある。キリンのあの形態はその結果うまれたものではないか。
竹内にしては上出来だと思う。
もうひとつはルイセンコ事件に関するもの。
ルイセンコはソビエトのインチキ生物学者。「獲得形質は遺伝する」という、いわゆるラマルキズムが社会主義思想に合致していたため、科学的正しさとは関係なく主流となった。反対する生物学者たちは死刑、シベリア流刑、自己批判強要などのめにあう。
竹内はソビエトの反ラマルク派生物学者が日本に来たときの他愛ない話を中心にそれを記述し、彼のその後の運命を暗示して文章を終えている。感動した。
こういうのだけ書けばいいのにね。