蜂起する農民たち ― 天明篇
たびかさなる飢饉と重い年貢で、百姓たちは疲弊しきっていた。
今日も長老の家にあつまり、なすすべもなく愚痴をいいあっている。
- 百姓
- イネも、アワも、ヒエもダメだ…。もうなんにもとれねえだ。
- 百姓
- おめとこもか…。
- 百姓
- 来年の種籾さえねえのに、どうしてお役人は、年貢はらえっていうだ。
- 百姓
- こうなったら、もう逃散でもするしか…。
- 百姓
- バカこけ。どこに逃げるとこがある。
- 百姓
- …。
- 百姓
- じゃあ、直訴か。
- 百姓
- やめろ。ハリツケだぞ。『ベロ出しチョンマ』だぞ。
それまでだまっていた長老がおおきく目をみひらき、力強くいった。
- 長老
- 一揆、するだ。
みなどよめいた。
- 百姓
- じさま…、おらたちみんな死んじまうだ。
- 長老
- こんなありさまで生きてても、おんなじだ。
- 百姓
- そのとおりだ。
- 百姓
- だれがいくだ。
- 長老
- 吾作から…。
- 百姓
- 吾作かっ。
- 百姓
- 吾作は強えから。よし、いけっ。
- 全員
- きょ〜おも、おサケが、飲めるのは、吾作ぅ〜さんのおかげです♪
それ一揆、イッキ、イッキ、イッキ…。
一時の享楽に浮き世をわすれる百姓たちであった。
おわび
どうも誤字があるようです。
画像
でんしゃちゅうい。