コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

『冷たい方程式』

昔読んだ有名なSF小説の話を。ネタバレ注意。
緊急物資を満載した宇宙船がある星にむかっている。その宇宙船には目的の星に軟着陸するだけの燃料しか積まれていない。重量超過は墜落を意味する。搭載した物資はどれもぎりぎりまで考慮された、目的地に絶対必要なもので、どれがかけても目的地の星に致命的な影響をあたえる。
この宇宙船の中に密航者があらわれるのだ。犯人は少女。目的地に勤務している兄にあいたくて、「あとですっごくおこられるかな」などという覚悟でこっそり乗りこんでしまったらしい。
もう古典的な話なので結末まで書いてしまう。ごめん。しばらくのやりとりのあと、航海が少女の質量に耐えられる限界がきた。少女は無線で家族にわかれをつげ、宇宙船の外に排出される。
この冷たい方程式に解はひとつしかなかったのだ。
さて、昔どこかの総理大臣がいったという「人一人の命は地球より重い」という定理を適用すればこの方程式が平和的に解けるだろうか。
検討に時間をかけすぎ、宇宙船は目的地に激突、支援物資がとどかないため目的地も全滅、という結末が関の山だろう。
卵をわらずにオムレツを作る方法など存在しない。

書籍データ

冷たい方程式(ハヤカワ文庫 SF 380)
トム・ゴドウィン〔ほか〕著・伊藤 典夫編・浅倉 久志編

出版社 早川書房
発売日 1980.02
価格  ¥ 693(¥ 660)
ISBN  4150103801

bk1で詳しく見る オンライン書店bk1