コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

俗流語源に気をつけろ!!(十一月二十六日分を翌日に)

ここ数年で何度か、知人から「くだらない」という語の語源説を聞いた。実はある本でも読んだ。こういう話である。
江戸時代には宇治のお茶や灘の酒など上質な品は大抵関西からきたらしい。江戸の人々はそれらを「くだりもの」とよんでありがたがった。これに対し、関東のものを下等品として「くだらないもの」とよんだ。それが語源だというわけだ。
いや、わるいが、これこそ「くだらない」語源説だと思いますね。
まず語のつかわれかたがまったくちがう。「くだらない」という語は、モノに対してではなく、人の行為や発言に対してつかうものだ。「つまらないものですが」を「くだらないものですが」といいかえることは可能だろうか。
また「くだりもの」の反対は「くだりものでない」であって「くだらないもの」ではない。
聞いたことをうのみにせず、ちょっと考えればこれが妄説だということがわかりそうなものだが。
この話、よく聞くということは、かなり由緒ただしい俗流語源なのかもしれない。江戸時代にどこかの洒落者が考えたオヤジギャグだったりして。
ひとつだけたしかなことを。もっともらしい語源説はたいていデタラメである。