コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

司馬遼太郎の読みかた

司馬遼太郎が好きだ。読んでいるとなんだかあかるい気分になり、日本も捨てたものじゃないなと思えてくる。おまけに、読むことによって得られる知識が半端な量ではない。小説にしろエッセイにしろ、とりあげられる人物たちがおいたちからかかわりのある人々まで十分に描写され、まるで伝記の集合体を読んでいるような気になることもある。
わたしは、『梟の城』からはじめ、『坂の上の雲』にいれこみ、『竜馬がゆく』にみせられた。いまは『翔ぶが如く』の途中で息ぎれして休止中だが。
しかし、『この国のかたち』を読んでいるうちに、司馬作品だけで歴史をわかった気になってはいけないと強くおもうようになった。
いや、わかったような気になっていたんです。さすがに歴史事実がそのまま書かれているなどとおもうほどアホではないが、描かれる時代の雰囲気、当時その場所に吹いていた風のようなものは本物に近いのではないかとおもっていた。やっぱりアホですか。
注意して読むと、小説のみならずエッセイでも、作家の想像、というより願望にがかたられている場所が大変多いのだ。
もちろん、それを承知で読めば滅法楽しい読み物だ。量も多いしね。