コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

国語改革がもたらすもの―呉善花さん(3)

呉善花さんの著作を読んでみたいむきには、まず『韓国人から見た北朝鮮』をすすめる。韓国と北朝鮮のみならず、日本との対比もあるため、呉さんの考えかたや日韓朝三国の文化的なりたちを概観するにはちょうどいい。
この本の第七章は「国民を愚かにする理念主義とハングル専用政策」と題され、すぐれた国語改革批判となっている。
といっても日本の国語改革ではなく、韓国と北朝鮮国粋主義にのっとり実施された「ハングル専用政策」への批判であるが、書かれている韓国の現状は、われわれの国語改革を反省するのにも十分なものである。
日本と同様、朝鮮もかなりの漢語を輸入している。朝鮮語の語彙の七八割は漢語だそうだ。それをすべてハングルで表記すれば、同音異義語がふえ、漢語は次第に駆逐されてゆく。
特に、漢語由来の語彙には抽象名詞や専門用語が多いだけに深刻だ。これは一種の愚民化政策なのだ。漢字ハングルまじり文にもどせという声もあるが、すでに若者たちは漢字をきらうらしい。あげく、韓国人の読書率は世界最低だという。
これは対岸の火事ではない。日本でも国語改革は実施されたのだ。
樋口一葉を原文で読めますか?

画像

エスプレッソ。

書籍データ

韓国人から見た北朝鮮(PHP新書 269)
呉善花

出版社 PHP研究所
発売日 2003.10
価格  ¥ 735(¥ 700)
ISBN  4569629474

bk1で詳しく見る オンライン書店bk1