コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

イムジン河(3)

『パッチギ!』の話、最終回です。訂正が一点。タイトルは感嘆符つきです。
わたしがこの映画のなかで一番スリルを感じたのは、ヒロインの兄が北朝鮮へわたると決意するくだりだった。
彼はサッカー選手で、北朝鮮をワールドカップの優勝国にするという夢をもっているのだ。
公園の宴で送別をしてもらい、餞別ももらってあとはいつかえるかということになるのだが、このシーンでは手に汗をにぎってしまった。
だってそうでしょう。北へいったら最後、ワールドカップなど考えられない状況になるのは目にみえている。もしこのまま兄が万景峰号に乗り、手をふりながらいってしまったらどうしよう。
さいわい、映画の後半で日本にとどまる理由ができ、この危機は回避される。ほっとした。
ほっとしたが、現実には似たような状況で北にかえっていった人はたくさんいたのだろう。
当時こどもだったわたしは直接には知らないが、進歩的な評論家やメディアは、こぞって「北へかえろう」キャンペーンをおこなっていたらしい。かれらはそのことを今どう考えているのだろうか。多少なりとも反省や自己批判をしているだろうか。
なにも考えていない、に百ユーロ。