コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

アニバーサリーと記念日

ちょっと前、都内某所で女学生が卒業式に着るハカマを展示していた。
会場前にカタログが置いてあり、はいからさん風ハカマ姿のモデルがかわいらしかったので一部失敬した。
会場から離れカタログを見ると、表紙に曰く。

大切にしたい私のアニバーサリー。
忘れられない一日に、おすすめのハカマレンタル。
Happy Anniversary day

どうも変だ。これではまるで毎年卒業式に出ているみたいではないか。
"anniversary"の先頭にある"ann"はラテン語の"annus"からきており、「年」という意味だから、"anniversary"とは、毎年くるものをいう。組織の創立や結婚や戦勝(や敗戦)の日から何年たったということを確認するのが"anniversary"なのだ。
もともと日本語の「記念日」もそういう意味をもっているが、「思い出になる一日」を記念日としゃれ、それをさらに似非ハイカラ趣味で英単語にしたことからこのどうしようもない意味のずれが生じてしまったのだろう。
それで思いだした。松任谷由実の名曲『Anniversary』の歌詞を聞いたときも「はじめての日なのに"anniversary"とはこれいかに」と不思議に思ったのだ。ユーミンも「記念日」を和英辞典でひいて、「"anniversary"か」とやったんだね。ひょっとしたらこのカタログのコピーライターは松任谷由実のこの曲の印象をもとにこんな文章を書いたのかもしれない。
借りてきた猫をはたらかせるにはそれなりの手が必要だというオハナシ。

画像

カタログの写真。かわいいでしょ。

追記

カタログ文中の"Anniversary Day"というなんとなくこなれないフレーズも気になったため、「英辞郎」@アルクhttp://www.alc.co.jp/index.html)で調べてみた。

Anniversary Day
オーストラリア建国記念日◆Australia Day の旧称

…いや、ひょっとしてわたしが卒業式のハカマだと思ったのが大きなかんちがいで、実はオーストラリアの建国記念日を古風なスタイルで祝うための衣装をレンタルしていたのかもしれない。