コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

出世はすれども成長せず―島耕作の不思議

マンガをおおざっぱに女マンガと男マンガにわけると、最近は女マンガばかり読んでいる。一番の理由は、女マンガには男マンガより深い哲学性があるからだ。
男マンガの典型はヒーローものである。なにかに秀でた才能(格闘技や料理)をもつ主人公が、それを使い課題をつぎつぎと解決してゆく。同じ才能をもつライバルと競いあうのがお約束だ。その世界では、格闘技なら格闘技、料理なら料理の一元論の価値観しかみとめない。だから、『クッキングパパ』荒岩も、『美味しんぼ』山岡も、『課長島耕作』も、わたしの就職前から二十年ちかくキャラクターが変化していない。特に島耕作。取締役になったらしいが、精神の成長はまったくみられず、さらに部下の育成もしていない。そういう人間が管理職としてやっていけるのか。不条理マンガだ。
対して女マンガの一番のテーマは「成長」である。典型的な女マンガでは一話ごとに登場人物のだれかが壁にぶつかる。それがあるきっかけで別の視点―アンチテーゼをあたえられ、それを昇華―アウフヘーベンし、あたらしいなにかをつかむ。弁証法なのだ。
女マンガは進化している。男たち、刮目せよ。

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めちゃうまインド料理店。