コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

七五調は自動文節調整機能つき

先日(id:Akimbo:20050822)頂戴したコメントのとおり、われわれが日本語の定型詩を詠唱する際には、適当な間をとり八拍のかたまりを作りながら読んでいる。
そのことを教えられ、おどろいたあげくいろいろな定型文を拍子をとりながら口ずさんでいたら、おもしろいことに気がついた。つぎの二句を、拍に注意しながら音読してみてほしい。

さみだれを∨∨∨あつめてはやし∨もがみがわ
ふるいけや∨∨∨∨かはづとびこむみずのおと

五月雨の句では、中七は九拍めからはじまるが、古池の句では、中七の読みだしは十拍めではなかっただろうか。その結果、五月雨の句にある中七のあとの休止一拍が古池の句でははぶかれている。
ちがいは中七の文節の構成である。五月雨の句では「あつめて―はやし」と「四―三」のくみあわせであるのに対し、古池の句では「かはづ―とびこむ」と「三―四」になっている。この文節の切れめを四拍の切れめと合わせるため、七音の最初の文節が三音となるものを読む際には無意識のうちに最初に一拍の休止をおいて四拍ふたつを作りだしている。
これは七五調の詩、たとえば『花』を読む際にも適用されているようだ。

画像

信長書店