コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

やすみには帰ってきんしゃい

平成十九年*1四月十三日薄暮。新橋駅にむかう人ごみの中を歩いていたら、「……うん、仕事もがんばりよる*2けん」という声が聞こえた。福岡弁だ。
就職で九州から上京したばかりの女の子が郷里の母親と携帯電話で話しているらしい。
なんだかちょっとうれしくなった。そうか、がんばってるのか。

画像

港区虎ノ門にある洋食屋「一枚皿」の前にすわっていたカエル。カエルが飲食店のマスコットになっているのをよく見かけるような気がするけれど、なにか験かつぎでもあるのかな。いや、ただ可愛いからか。カーミット*3萌え。

追記 - 訃報

カート・ヴォネガットさんが亡くなった。
高校のときに先輩*4にすすめられ、『スローターハウス5』を読んで圧倒された。多分わたしに小説というものを教えてくれた最初の作品だと思う。『母なる夜』(池澤夏樹白水社Uブックス)では物語とともに翻訳者池澤夏樹のすごさを知った。たしかにヴォネガットの文章のなのに日本語で読めるような感じ。それでいてまぎれもなく池澤夏樹の文章なのが不思議だった。
一番好きなのは『タイタンの妖女』で、すべての登場人物が、トラルファマドール星人*5さえも、時間というあらがいがたい物理現象にじりじりと引きずられながら、運命や他人や経済状況や時代や、つまりさまざまのものにもみくちゃにされ、それでも生きてゆくさまから目がはなせず、くりかえし読んだ。
ほかにも書きたいことはいろいろとあるのだが、まとまりそうにないため、とりあえずリンクだけ。

//www.vonnegut.com/" title="VONNEGUT•COM">VONNEGUT•COM:公式サイト。現在はイラスト(多分本人画)のみ。
//www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/04/12/AR2007041200164.html?hpid=artslot" title="Obituaries - Novelist Kurt Vonnegut Jr., 84; Keen Observer of Humankind">Obituaries - Novelist Kurt Vonnegut Jr., 84; Keen Observer of Humankind:ワシントンポスト紙の死亡記事。

*1:会社で使用する年表記が西暦に統一されたためか、最近和暦の年がとっさに出てこなくなってしまった。

*2:この「る」はR音が小さい。「がんばりよる」と「がんばりよう」の中間くらい。

*3:もう驚くべきことではないのかもしれないが、わたしの携帯電話で「カーミット」が一発変換だった。
  蛙(かはず)ゐて氣志團カーミットもケータイの中  秋穂

*4:現ゲームデザイナの柴尾英令さん。実は訃報も柴尾さんのmixi日記で知った。わたしのヴォネガット体験は柴尾さんを起点とし、円環をえがいている。

*5:時間軸をふくめた視覚をもつ宇宙人。かれらは宇宙がどう終わりをむかえるかまで知っている。ヴォネガット世界での宇宙のゆくすえについては『スローターハウス5』を参照のこと。