コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

理由の物語化(あるいは、"Nothing is too late.")

四月からピアノをはじめた。
「大人のピアノはじめてコース」という教室で、まず「ドレミファソファミレド」を習った。「これじゃあ「さいたさいた」が弾けないじゃん」と思っていたら、先日やっとラが出てきて弾けるようになった。
ひとに「ピアノをはじめた」と言うと、「なぜ?」と聞かれることが多い。弾けるようになりたいからにきまっている。が、正直に答えるのも芸がないかなと思い、こう説明することにした。
「実は子供のころからずっとピアノにあこがれてたんだ。でも家が貧乏でピアノどころじゃなくて、ギターを弾いてた高校時代も、大人になってからも、「ああ、ピアノが習いたかったなぁ」と思ってたの。でも最近、「おれ、このまま子供時代に習いごとができなかったことをうらみながら死んでいくのかな」と気づいたら、たまらなくなってね。だったらはじめればいいじゃん。その矢先にオフィスの近くで音楽教室開講のビラを受けとったんだ。運命だと思ったね」
最初はくるしまぎれの言いわけだったのだが、何度もくりかえすうちにだんだんうまくなり、感情までこもってきた。
自分がこわい。

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ベッツィ・ライオンズ(ヒルトップ・リサーチ社)。