コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

マスコミは死なず。ただくりかえすのみ。

掲示板ですすめられ、佐藤卓己著『言論統制』(中公新書)を読んでいる。鈴木庫三という一将校の生涯についてのルポルタージュ
鈴木庫三、はじめてみる名前だったが、現代のマスコミ史では、戦前から戦中にかけ、雑誌や書籍の大弾圧をおこなったとして悪名のたかい人らしい。
著者の佐藤卓己は、のこされた本人の手記、日記、そして著作から鈴木の生涯を再構成し、戦後に確立した評価を検討してゆく。
まだ途中までしか読んでいないが、第一章、鈴木の手記をもとにしたおいたちを読むだけで、この努力家で人情にあつく魅力的な人物のファンになってしまった。
引用されている日記の文章を読んでも、軍の教育や時勢に対する理解やそれに対する批評も的確で「明治にはすごい人がいた」と感心させられる。これだけの人物がどうしてマスコミ史ではヒステリックに雑誌や書籍の弾圧をおこない料亭での接待に喜々として応じる俗物という役まわりを演じさせられているのか。多分「すべて軍が悪かった」とすればことたりた戦後の風潮のなせるわざだ。マスコミは反省しない。標的を鬼畜米英から軍国主義にかえ、おなじことをくりかえすのみである。

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ショウリョウバッタ
たくさんいても少量バッタとはこれいかに。

書籍データ

言論統制(中公新書 1759)
佐藤卓己

出版社 中央公論新社
発売日 2004.08
価格  ¥ 1,029(¥ 980)
ISBN  4121017595

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