コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

小泉にさせるな。

食事中テレビをつけていると発酵学者の小泉武夫がでていた。どこかの割烹の調理場で料理をしている。子供のころから料理好きだったという小泉の独特なレシピを紹介しながら発酵の話や昔話、ついでに魚の駄洒落をおりまぜるという、まあいつものパターンである。
調理自体は本人も「ぼくはおおざっぱだから」というとおり、おおざっぱでおもしろかった。「じゃあアラの煮つけをつくりましょう」といいつつ、買ってきたアラをいかにもプロ仕様の打出鍋に放りこんだ。バッグの中からおおぶりのペットボトルにつめかえた醤油だの味醂だのをとりだし、鍋にドボドボといれてゆく。よこについていた、いかにもまじめな料理人風の板前さんが顔をこわばらせていた。女性アナウンサーが「どうですか、小泉さんの料理」と聞いた。追いうちだ。板前さんは困惑した表情で、「ええ、まあ」というばかり。好きだ。この板さん。
小泉はさらにエスカレートしてゆく。調味料を入れた鍋を自分の指でかきまぜ、それをベロリとなめる。しあげに鍋の上で指をはじき、しずくをもどした。
うえっ。わたしもここで降参だ。
小泉の料理は放送禁止にしろ。せめて食事時だけでも。