課題図書追加
ある事柄について要点をバランスよくまとめてある新書を読むと、すごく得した気分になりません?
メディア・リテラシー向上計画(リンク先はWikipediaの同項目。「Wikipediaリテラシー」もいるよね)
黌門客(id:higonosuke:20060629)経由。
メディアの「からくり」を平易に解きあかしてくれる佐藤卓己先生(リンク: 佐藤卓己研究室、『言論統制』レビューはid:Akimbo:20041005)のメディア論講義、みたいなエッセイ集。京都新聞に連載されたものらしい。一読、頭の風通しがよくなった気がする。
本書では、メディアがなにもので、どのようにしてニュースを「製作」してゆくのか、理論と実例がおだやかな筆致でかたられる。
なんというか、メディアを含めた社会を、ガソリンエンジンやカメラや化学プラントのようなひとつの「装置」とみて、構造や力学やエネルギー収支を解析するようなアプローチなんだな。科学少年だったわたしは『Newton』などに載っていた「レーザーディスクの内部構造」といった記事をむさぼるように読んでいたが、この本でもそれに似た興奮を味わった。
いや、本来はそれが普通のアプローチなのだろう。しかしメディアの両端にいる発信者も受信者も自分たちが利用している装置がどのような構造のものかあまり意識せずに思いつきや見よう見まねであっちを押したりこっちを引いたりして「素材」の加工と消費にのみ注力しているため、こういった本が新鮮に感じられるわけだ。
それにしても、こういうメディアの種明かしみたいなものを連載させる京都新聞ってレベルが高いような気がしてきた。
おまけ
未読ですが、多分これは『メディア社会』演習みたいな内容ではないかと。これから書店にむかいます。
おまけ2
「からくり」で思いだし、当欄を検索してみると、なんと二年前の今日、同じようなことを『からくり民主主義』の書評(id:Akimbo:20040813)で書いていたよ。この二年間、わたしはなにをしていたのだろう。
こうやってならべてみると、『からくり民主主義』はメディア論講義のフィールドワークみたいですな。高橋秀実はデキの悪い生徒の役割を好演している。
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ぶうから残暑見舞。