コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

Hotel New Seoulの室内にあった防煙マスクの使用説明書

されやかなえび」がちょっとウケたので、今度は韓国で見かけた日本語を。

すつぱりかぶろう防煙マスク

  • マスクを頭からすつぱりかぶる
  • ゴムヒモをあごにかける
  • 呼吸は口で大きくゆつくりと

(強調引用者)

頭全体にかぶる形の防煙マスクだから、「すっぽり」と言いたかったのだと思う。惜しい。
しかしそのおかげで、ちょっと江戸っ子っぽいいさぎよさが出ていて、小気味いい感じがする。
たしかに、いざこういうものが必要になったときには、四の五の言わずにすっぱりと被ったほうがいいに違いない。

「すぱり」、「ゆくり」

この説明文の促音はすべて大きい「つ」で書かれている。
さっきまでこれは誤植だと思っていたのだが、実はこの文章を作成したのが戦前生まれで日本語教育を受けた人だったら話は変わってくる。
戦後しばらくのあいだ*1まで使用されていた表記では、促音や拗音を小さい字*2で書く習慣はなかった。
だから、それ以降日本語に触れていなかった人にとっては、「すつぽり」、「ゆつくり」が正しい表記となる。
日本語は、「現代日本人」が好き勝手にいじっていい占有物じゃなかったんだな。時代的にも、地理的にも。
やはり国語改革なんてやめといたほうがよかったんじゃないかなあ。
【2003年11月23日 ソウル、韓国】

*1:現代かなづかいが発表されたのが1946年11月で、それが浸透するのにしばらくかかったようです。

*2:いまWikipediaで調べて「捨て仮名」という名前があることを知りました。印刷用語だそうです。