コールスロー

世界というジグソーパズルの1ピース

傷痍軍人

土曜日に「おばあちゃんの原宿巣鴨にいくと、道端に軍帽に白シャツ、軍ズボンといういでたちの人がむしろを敷いてすわっていました。
みると、左腕を失っているようでした。横にはなにやら墨でこまかく書いた行灯があります。
よく読まなかったのですが、多分、徴兵されてから負傷し復員するまでのいきさつが記してあるのでしょう。

なつかしい。傷痍軍人です。

わたしが小さな子供の頃には、縁日にはよくこういったいでたちの人たちが来て、不自由なからだでハモニカをふいたりアコーディオンをかなでたりしていたものです。
成否は別として、日本の平和を築くために戦い、傷ついた人々だという認識をみな持っていましたから、おかねをあげる人も少なくなかったと思います。
しかし、いくら巣鴨とはいえ、戦後六十年近く、二十一世紀に入り、この手は有効なのでしょうか。
しばらく観察していたかったのですが、友人とのウォーキング中ゆえ、なりませんでした。

それに、

第二次大戦の傷痍軍人ならもう八十歳近いはずですが、その人、なんだか若々しくて、どう見ても六十そこそこ。おまけに、腕がないはずの左肩あたりが妙に盛り上がり、なにか隠していました。

第何世代?

考えると、この「商売」、昔からなんだかうさんくさかったようです。
子供時代に仲間たちでお祭りにいき、傷痍軍人の前を通りすぎたわたしがおびえていると、友人の一人は、「あの人たちが本当に戦争でけがをしたのなら、ちゃんとそういう人のための年金を貰っているから、あんなことする必要ないんだ」とはきすてるようにいうので、その大人のような口ぶりに驚いたものです。
それから十数年のちのことです。頻度は少なくなりましたが、まだ時々彼らを縁日等で見かけるため、あいかわらず元気そうな彼らにおどろきながら、「傷痍軍人というのはからだにいいのかねえ」と冗談まじりに友人(さっきとは別の友人です)にいうと、彼は「なんだかあの人たち、世代交代しているらしいよ」と、なんでもないことのようにいいました。
すると、今回見たあの人はいったい第何世代なのでしょうか。
巣鴨にいく機会があれば、是非観察してみてください。

今日の猫(写真日記猫

またもや日暮里の半ノラたち。
三匹セットでどうぞ。